【Robloxをビジネス活用したい企業必見!】GeekOut×newtrace「Robloxビジネスセミナー」レポート!
2023.08.08
2023年5月24日、GeekOut株式会社とnewtrace株式会社による「Robloxビジネスセミナー」が開催されました。
日本での実例がまだまだ少ない「Roblox×ビジネス」がテーマということで、オンライン・オフラインともにマーケティング関係者を中心とした多くの方にお集まりいただき、非常に活気のある会となりました。ご参加いただいた皆さまに改めて御礼申し上げます。
セミナーでは、日本の企業・IP・クリエイターのRoblox進出を支援するGeekOutと、3DCGによる空間制作に長け、Robloxのパートナーカンパニーでもあるnewtraceならではの、実例ベースのリアルな成果や制作秘話が飛び出しました!
イントロダクション: About Roblox
オープニングは、「イントロダクション:About Roblox」。
GeekOut代表取締役 田中創一朗氏より、Robloxの実態について解説いただきました。
<Topics of Roblox> ▶DAU 6600万人(2023年第一四半期)。 他の巨大メタバースを凌ぐ圧倒的な数字 ▶一番伸びているユーザー層は、17歳~ 24歳。ゲームを遊ぶことそのものではなく、友達と、Roblox内で過ごすために集まるというプレイスタイルも一般的 ▶過激なコンテンツや広告が出るようなことは無い ▶日本のユーザー数も急成長中。日本市場はRoblox社が今最も注力している市場の一つ ▶平均エンゲージメントタイム2.4時間/日は他の主要SNSプラットフォームより断然多い ▶アバターが多様であり、Robloxユーザーの5人に1人が毎日アバターを着替え、かつ70%がアバターから現実世界のスタイルに影響を与えられている ▶ゲームの制作スキル・集客コスト・運用コストが少なくて済む ▶リアルタイムフェイスアニメーションやボイスチャットなどコミュニケーションを拡充する機能も拡充されている ▶成長層であるハイティーン向けのコンテンツ開発に注力 |
Robloxで地方創生!志摩スペイン村の活用事例と課題
第二部は弊社newtrace執行役員 広瀬より、日本のリゾート施設として初めてRobloxでメタバースを作った、三重県「志摩スペイン村」の事例についてお話しさせていただきました。
<Topics of 志摩スペイン村 ~Parque España~> ▶企画の目的 ①国内に向けて:地方離れの進む中、志摩スペイン村に行く動機付けと認知 ②海外に向けて:インバウンドを見据えた認知 ③Z世代に向けて:ブランディング・リレーション構築 ▶なぜRobloxにした? ユーザー数が圧倒的に多く、制作・集客・ランニングコストが他のメタバースと比較して低いから。 (イントロダクションでの田中氏の話に繋がりますね!) ▶ コンセプトは? 「デジタルツインで現実のスペイン村を疑似体験」 ▶制作のポイント ・志摩スペイン村の知識をつけてもらうため、ポータルサイト的な作りを意識 ・バッジやコイン、人気キャラクターなど、訪問者を回遊させるための仕掛けを配置 ・アバターアイテムを身に付けてもらうことでテーマパーク感や没入感を得られる仕組み ・リアルへの誘導企画としてミニゲームの成績上位者へ志摩スペイン村のペアチケットプレゼントを実施し、訪問数の増加にも寄与 ▶成果 3ヶ月で来訪数3万人突破!インバウンド効果やクリックポイントへの反応も上々。☞成果について、詳しくはこちら ▶Twitterでの反響に驚き ・Roblox内で撮影した「自撮りスクショ」をアップ ・幼いころ家族と行った思い出が蘇った etc |
質疑応答では、デジタルツインを作る際のスケール調整や、動作に支障ない画質をキープしながらクライアントの求めるクオリティを出していくところなど、Roblox上で制作を行う際ならではの、少しマニアックだけど必要不可欠でもある試行錯誤話も披露されました。
3ヶ月という短期間で訪問者数3万人突破の背景には、同時期に実施された人気Vtuberと志摩スペイン村のコラボ企画の影響もあったとして、人気アイコンやIPと掛け合わせるとより効果が出るのでは、という見方も示しました。
Robloxと企業ブランドの付き合い方
続いて第三部は再びGeekOut代表取締役 田中氏が登壇し、海外での成功事例や日本の企業・IPの展開事例を中心に、企業のRoblox活用の定石やポイントについて解説しました。
<Topics of popular games in Roblox> ▶カスタマーエンゲージメント獲得のため、コンテンツホルダーや民間企業の取り組みが活発に ▶企業・ブランドのRoblox進出は大きく以下に分けられる ①アイテムだけを販売 ②すでにある、多くのユーザーがいる有名なゲームとブランドのコラボ ③期間限定でワールド公開やイベントを開催する、キャンペーンのようなもの ④恒常的に設置してコンテンツを更新・追加し、長いスパンで消費者とのコミュニケーションを取っていくもの 比較的簡単に始められ一定の期間で終わる②と③が最近のトレンド |
▼Roblox 「Honda Rewired 」 (タイトルをクリックするとRobloxへ遷移します)
▼Youtuberによるゲーム実況動画
<Topics of 顔から“逃げるゲーム×GEMS COMPANY”> ▶Robloxにおけるアバターアイテムの重要性と波及効果 ・特設ステージをクリアした人に無料アイテムプレゼントの企画で、無料アイテム配布をした日の前後で比べると、特設ステージのDAUが約2倍に ・無料アバターアイテム獲得のためのHow to動画が、Youtubeに3,000以上制作された |
▼Roblox 「顔から逃げるゲーム」 ※GEMS COMPANYとのコラボ企画は終了
(タイトルをクリックするとRobloxへ遷移します)
▼無料アイテムの獲得方法動画
プレゼン後の質疑応答で田中氏は、グローバルで見た時にRobloxはゲーム収益ではないところでも果実が取れる土台ができていることから、アイテム販売のような直接的なマネタイズではなく、日本のものを海外で知ってもらうためにRobloxというプラットフォームを活用するというのも一つのあり方だと解説しました。
また、いわゆるインスパイヤードゲームも多く見られるRobloxでは、IP(知的財産)所有者が参入するのも非常に理にかなっているとのこと。
今後日本でも、Honda様のような企業のコンテンツ展開の事例や、GeekOut社が先日発表した吉本興業グループ企業とのパートナーシップ提携のような流れがますます盛んになるのではないでしょうか。
パネルディスカッション
第四部では、両社によるパネルディスカッションが行われました。苦労話や思わぬ発見など示唆に富む話がざっくばらんに飛び出しました!
キーとなるコメントをピックアップしていきましょう。
テーマ1 Robloxだからこそ感じた、開発環境の違い
是枝: Robloxではユーザーコミュニティの重要度がとても高いんです。実際に「志摩スペイン村~Parque España~」の制作・開発にあたって、ユーザーコミュニティに置いてある情報がかなり参考になりました。ユーザー側からDiscordでグループ作って!という要請をいただいたりも(笑)。Robloxのコミュニティの広がり方を感じながら過ごした1年間でした。
田中:海外の開発スタジオの場合、いわゆる“Robloxネイティブ”なクリエイターたちの開発プロセスは、日本の大企業と行うそれとは全く違うんです。海外スタジオのプレゼンはアバウトだし、方向性もいつの間にか変わっていたりする(笑)。なので国内クライアントと海外スタジオの間を取り持つディレクション力が非常に問われると思います。
テーマ2 クライアントとの向き合いかた
田中:既存の広告とRobloxでのアドの違いという点で見ると、企業にとっては、「広告の制作物を作る」のと、「プラットフォームの文化にあったものを作る」、という部分が違う気がしています。
広瀬:(日本では)企業による制作・開発が始まったばかりのRobloxだからこそ、クライアントに細かく寄り添って進むのが必要なのかなと思いますね。
田中:まだクライアントさん側も自分たちが何が欲しいのかわかっていないようなところがありますしね。
テーマ3 Roblox制作裏話
是枝:志摩スペイン村の設計図面をRobloxに落とし込む際、どうやったら現実のスケールと違和感なく、かつユーザーが遊んだ時に不便じゃないか、遊びやすいように作れるか?に関しては結構気を使って制作しました。なので、「小さいころ志摩スペイン村に行った時の思い出が蘇りました」とか、ゲームで遊んだ方から現地で「ゲームのこの場所(と同じ)だ」という声をいただいたことに関してはやりがいを感じましたね。
観光地のデジタルツインをRobloxで再現してインバウンドを喚起するという考え方はアリだと実感しています。
田中:「Honda Rewired」もある種デジタルツインだったので、同じような効果がありました。海外在住のクリエイターにHonda Rewiredのことを知らせたら、後からその方が北海道で実際にHondaの雪かき機があったから雪かきしてみたって動画が僕に送られてきたんです。そういったことが各地で起こると面白いなと。「現実のものを再現する」って、長い目で見ると消費者への認知という点で結構効いてくると思います。
勝呂:キャラクターの再現には苦労しましたね。Roblox上でのスムーズな動作と画像の精細さ(ポリゴン数)との戦いでもありました。
田中:Robloxは ポリゴンやテクスチャの制限は結構きついですよね。ゲームのパフォーマンスに影響を与えない範囲のリダクションが鍵になります。そこは開発経験がかなり物を言うところです。
広瀬:あとはキャラクターを3Dで再現する際、やっぱりIPがゆえのクライアントのこだわり、例えば修正の細かさなどは制作スタッフを見ていても苦労しているところだと思いました。
田中:パブリッシャー目線で行くと、日本のゲーム開発会社さんや IPをよく扱っている開発会社さんにどんどんRobloxに参入してきてほしいです。海外でそこについてこられるスタジオってほとんど無いと思うので。
テーマ4 Robloxでアバターアイテムは儲かるのか?
田中・是枝:直接的には儲かりません。これは共通の認識ですね。
田中:ただ、発信力や訴求力はとても強いです。Robloxユーザーは常に無料のアバターアイテムを探しているので。
広瀬: 僕がRobloxをやってみて一番最初に思ったのはアイテムは「フック」であるということです。ユーザーにアドとしてのワールドに来てもらってアイテムを身につけてもらい、他のワールドに行ってもらう。すると、「あのアイテムは何だ?」となるというのが波状効果としてあるのかなと思います。
田中:そうですね。「アイテムが売れた個数」というのはそのブランドが届いた数として一番ベーシックだと思うんですけど、「売れたアイテムを着た人が遊びに行ったワールドでそのユーザーを見た人達」も、そのブランドが届いた人達と言えると思います。そこから、それを動画に撮ってYouTubeに上げた人、さらにそのYouTubeを見てる人たちも目にしているわけで、Robloxから他のプラットフォームへの波及がある。波及効果について、うまく計測やこれくらいの効果があるというのが言えると、すごくブランドさんにも魅力が伝わると思います。
両社の今後の展望
勝呂:newtraceとしては、日本のIPコンテンツはやはり強力なコンテンツだと思うのでアイテム販売だったり自社ブランドのワールドの制作みたいなところで後押ししていくような 協力ができればと思っています。
是枝: 企業のプロモーションや観光のインバウンド施策として活用していける分野だと思っているので、ゲームだけでなく「体験」というコンテンツで弊社が後押ししていけたらいいですね。
田中:世界の最先端テクノロジーのJAPAC進出支援をしている親会社を持つGeekOutとしては、優れたテクノロジーをうまく工夫して発展させるのは日本が一番得意なことだと思うので、Robloxにおいてもそのようにして日本を元気にしたいです。例えば Robloxのトップ10のゲームのうち半分以上が日本のゲームくらいになるイメージです。日本のコンテンツが人気になればもっと日本の企業やブランドのRobloxのハードルが低くなると思うんです。ビジネス活用や広告・マーケティング活用という意味でも土台が整うのではないでしょうか。そんな未来を実現していければと思っています。
質疑応答タイム
本編終了後の質疑応答では、なごやかな雰囲気の中、多くの熱心なご質問をいただきました。いくつかご紹介させていただきます。
田中:たとえば、「若い世代に届けたい」という思いが先にあり、もう我々のところに話が来る頃にはすでにいわゆるゲーム・メタバース、つまりRobloxかFortniteかMinecraftか?というところで選択肢が絞られているケースもありました。
広瀬:志摩スペイン村様の場合はグループ会社の近鉄不動産様が昨年末にクラスターでバーチャルをされたりとメタバースに抵抗のない土壌はありました。あとは田中さんの言われたようにゲームをやっているZ世代・α世代にピンポイントで届けられるというのが一番の決め手だったと思います。4大メディアで制作費2,000万3,000万積んで広告枠を買ってそこにさらに1億乗せて制作するよりはるかに安く、ゲーム体験を伴った広告として海外に届けることができますから。
田中:Robloxのリーチをどうやったら別の領域でのビジネスにつなげるのか?新しいメディアとしてのRobloxをどう活かすのか?みたいなところを考えられるような体制でRobloxのことを見てほしいです。
企業さんとお話するときに一番気を付けなければいけないと我々が思っているのは必ずしも「Roblox=ゲームを作って稼げる」ではない点。 収益狙いで参入するのは結構ハイリスク だし茨の道なので、そこの理解は丁寧にお話ししていく必要があると思います。直接的にRobloxから果実を得ようとするんじゃなくて顧客との全体のコミュニケーションの中で、Robloxをどう位置づけるかみたいな、そういう話ができると生産的かなと思いますね。
あとは、企業の意思決定層の人達っていうのはゲームは嫌いかもしれないし、あまりわからないかもしれないけれど、若い世代は当たり前にゲームをやってるんです。そこに行かないと本当にもう話しかける手段がないですよ、と。それを受け入れていただくのも大切です。
* * * * *
まだ国内事例が少ないだけに、参加された方々からのRoblox×ビジネスへの興味関心の高さを実感する時間となりました。質問された皆さま、セミナーのラストを盛り上げて下さってありがとうございました!
なお、当面の両社の動きとして、GeekOut社は、Roblox社のパートナーシッププログラム「Roblox Partner Program」のサポートを始め、企業やIPにとっての新たなコミュニケーション機会の創出を、Roboxコンテンツの企画開発の面から支援していきます。
▶GeekOutがRoblox社の電通グループとのパートナーシップをサポート
(プレスリリースへ遷移します)
また、newtrace社は大日本印刷株式会社と提携し、両社が共同で企画・運営するオリジナルワールドの提供や、IPの世界観を体験できるデジタルアイテムの開発を通じて多種多様な企業のブランディングやマーケティング活動に貢献していくことを発表しています。
▶大日本印刷 「XRコミュニケーション®」事業の推進に向けて newtrace と業務提携
(プレスリリースへ遷移します)
今後もRobloxのコンテンツパブリッシャーと、Robloxの企画制作というそれぞれの立場と強みを活かし、日本企業のRoblox活用を盛り上げていきたいと思います!
今回のようなセミナーもまた企画したいと思いますので、ぜひお楽しみに。
弊社 newtrace株式会社は、メタバース企画・コンテンツを制作する企業です。
企業・団体様を対象に、Robloxを活用したメタバース進出や、マーケティング・ブランディングの支援を行っています。
バーチャル展示会や、3Dスキャン・3Dデータ制作もおまかせ!
ご相談・ご質問などお気軽にご連絡ください!
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