【2023年1月更新】新しいデジタルマーケティング手法!有名ブランドも進出。「ロブロックス(Roblox)」の企業活用事例7選
2022.10.17
コロナ禍を機に人々のオンライン上でのコミュニケーションがさらに進みました。
ZoomやTeamsを介した社内会議、書類の電子契約、商談、採用活動など、
オンラインのビジネスツールを取り入れた企業は多いことでしょう。
中にはもう一歩踏み込んで、3Dで立体化されたリッチな、いわゆる「バーチャル空間」や「VR」を用いた展示会や発表に挑戦した企業もあるかもしれません。
このように様々なDXツールやデジタルマーケティングが模索される中、2006年に米国で誕生した「ロブロックス(Roblox)」というゲーミングプラットフォームに世界中のマーケターが注目しているのをご存じでしょうか?
欧米では既に世界的な有名企業が続々とRobloxに進出しているとのこと。
ここでは、その代表的な事例をご紹介します。
▼目次
1.ロブロックス(Roblox)とは?
2.企業活用事例 7選
①スポーツアパレル:NIKE
②ラグジュアリーブランド:Gucci
③マーケットチェーン:ウォルマート
④スポーツ:FCバルセロナ
⑤音楽サブスクサービス:Spotify
⑥Roblox内での企業×企業コラボ:Forever21×バービー
⑦日本企業:サンリオ
3.まとめ
ロブロックス(Roblox)とは?
世界中で大人気の、無料で遊べるゲーミングプラットフォーム
『Roblox(ロブロックス)』は、世界で2億人以上が登録し、欧米やアジアの10代~20代や子供を中心に爆発的にユーザーを増やしているゲーミングプラットフォームです。
2022年6月のRoblox社発表によると、登録ゲーム数は3200万種を超え、1日あたりのプレイ人数は5220万人という驚くべき数字。ゲームの中で遊ぶための世界、アバター、キャラクター、アイテム、服装など基本的にすべてをユーザー自身がデザインして全世界に公開でき、それをほかのユーザーも遊ぶことができるのが特徴です。
また、SNSのようにユーザー同士が友達になったり、チャットでコミュニケーションを楽むこともできます。
日本のビジネス層ではまだなじみが薄いかもしれませんが、お子さんがRobloxにハマっている、という方もいらっしゃるかもしれませんね。
仮想空間上の“サードプレイス”
Robloxは、ただのゲームプラットフォームではありません。なぜならRobloxはミッションのクリアや勝ち負けを競う単純なゲームプラットフォームではなく、自分のアバターが他のプレイヤーとRoblox上で集う仮想世界として成立しているからです。
実際にRobloxに入ってみると、ゲームに熱中している人もいれば一方でのんびり散策している人、友達同士でおしゃべりしながらまったりしている人など、様々な過ごし方が見られます。 16歳未満の子どもの半数以上がRobloxをプレイしている米国では、放課後に家や公園、あるいはカフェに集まるようにRobloxに集合するのが日常化していることも多く、まさに「仮想空間上の“サードプレイス”」と言えるでしょう。
生まれながらにデジタルネイティブと呼ばれ、リアルとデジタルの両方の世界で生きているZ世代やアルファ世代にとってはごく自然な行動なのです。
そのため、通常のゲームやSNSより平均滞在時間が長く、2021年3月のブルームバーグの報道によると、コロナにより滞在時間は増加傾向にあったとのことで、1日に平均して2.8時間をRobloxに費やしているという統計が出ています。これは、アメリカでメジャーなSNS「スナップチャット」の約3倍という数字。エンゲージメントの高さが伺えますね。
リアルマネーが稼げる
Robloxの大きな特徴として、ゲーム内通貨の「RoBux」(ロバックス)を稼ぎ、現金(アメリカドル)に換金して収益化できるシステムがあります。
ゲーム開発者は、いくつかの条件をクリアすれば、ゲームの中に課金ポイントを組み込むまたはプログラムを販売することで、Robuxを集め収益化することができるのです。
Robux(ロバックス)を稼ぐには、Roblox内で遊べるゲームやアクティビティを作るか、もしくはアバターやアバターの衣装、特殊能力などのアイテムを作って販売するという方法があります。
安全性について
ユーザーの多くが未成年ということで、気になるのが安全面です。
Robloxでは、報告システムの完備、不適切なコスチュームの検出、チャットやゲームコンテンツのフィルタリング機能などを備え、トラブルを未然に防ぐ対策をとっています。
また、ユーザー側もプライバシー設定や保護者による行動履歴の確認機能、ブロック機能、決済機能の使用可否などを設定することが可能です。 これらの機能は適宜アップデートされており、課金まわりやコミュニケーション上のトラブルが最小限に抑えられるような企業努力がなされています。
企業活用事例 7選
既に世界では多くの有名メーカーやラグジュアリーブランド、スポーツチーム、インフルエンサーなどがRobloxでのメタバースに興味を示し、ワールドやゲームでその世界観を表現して、ブランディングやプロモーション、ファンマーケティングに活用しており、デジタル感度の高い日本企業も導入をスタートしています。
代表的な事例を7つ見てみましょう。
スポーツアパレル:NIKE
NIKE LANDは、スポーツウェアブランドのNIKEが2021年11月に発表したゲームです。
鬼ごっこやスイミング、バスケットボールなどをプレイすることができ、クリアすると無料のUGC(ユーザーの手によって制作・生成されたコンテンツの総称)アイテムが貰えます。 また、NIKE LAND内に入るとオリジナルの衣装を着ることも可能で、NIKEの世界をより楽しむことができます。
2022年の2月にはNBAのスター選手、レブロン・ジェームズ氏がNIKELANDを訪れるイベントが開催されました。バスケについてのトークショーが開催され、ファンとハイタッチを交わし、バスケや体を動かすゲームをプレイしてNBAファンやRobloxユーザーとの交流を図りました。
このような施策の効果もあってか、2022年3月の発表によると、NIKELANDには195カ国から約670万人が訪れたとのことです。
ラグジュアリーブランド:Gucci
今年で創業100周年を迎えたイタリアの老舗ファッションメゾン「Gucci」。近頃は、「ドラえもん」や「ポケモンGO」とのコラボなど、若い世代へ向けたコミュニケーションに積極的な彼らもRobloxを活用しています。
2021年5月、Gucciは同時期にイタリアのフィレンツェで開催された、グッチの生誕100周年を記念する展示会に付随するオンラインイベントとしてRoblox上で「グッチ・ガーデン(Gucci Garden)」というバーチャル展示会を開催しました。 訪れたユーザーは、真っ白なマネキンとしてスペース内を移動しながら各ユーザーに最適化された素材とパターンをまとい、オリジナルのマネキンを作り、世界観を楽しみました。
グッチを所有するケリング(Kering)によると、2021年第1四半期の決算で、グッチの売上は対前年比で20%以上増加しています。
続いて2022年5月には、公式ワールド「Gucci Town」を常設オープン。グッチをイメージしたアイテムをアバターで試着し購入したり、自撮りやカフェスペースでのおしゃべりを楽しんだり、様々なゲームをプレイすることができます。
子供だけではまず実店舗に入店することのないGucciのようなハイブランドだからこそ、Robloxでプロモーションをしたことに意味があります。Gucciの例は、Robloxを通して、仮想世界で積極的に子どもたちにブランド訴求を行った事例といえるでしょう。
マーケット:ウォルマート
世界最大のスーパーマーケットチェーン「Walmart(ウォルマート)」は、2022年9月にRoblox内に「ウォルマート・ランド」と「ユニヴァース・オブ・プレイ」という2つのワールドをオープンしました。
著名ミュージシャンを招いての音楽フェス、ゲーム、アイテム集め、観覧車やローラースケートなどのアトラクション、集めたポイントでアバターの着せ替えや仮想商品の収集などが楽しめます。
特徴的なのは、小売りにも関わらずECに重きを置いていないことです。Z世代・α世代をターゲットにしていることもあり、彼らにウケそうなアーティストやキャラクター、ファッション、メイクなどのコンテンツがエリアごとにまとめられています。 まだ始まったばかりなので、そうしたコンテンツに人々がどう反応するか? という実験の場、リサーチの意味合いが強いようです。
スポーツ:FCバルセロナ
スペインを本拠地とするサッカークラブの名門「FCバルセロナ」も、Robloxを若年層向けのファンマーケティングに活用しています。
2019/20シーズン、同チームはのRobloxユーザーに向けて、アバター用のデジタル版新ユニホームを期間限定配布しました。ユーザーはお気に入りのRobloxの世界を楽しみながら、アバターにデジタル版バルサユニフォームを身に付けることで、バルサへの情熱や尊敬の心を表現しました。
音楽サブスクサービス:Spotify
スウェーデンの音楽ストリーミングサービス大手「Spotify」は、世界中のファンやアーティストが集い、楽曲や冒険や限定バーチャルグッズなどを見つけられるメタバースサービス「Spotify Island」を2022年5月に開設しました。音楽ストリーミングサービスとしては初のメタバースおよびRobloxへの進出だそうです。
「Spotify Island」では、ファン同士が同じ空間でゲームやイベントを楽しめるほか、Robloxユーザー限定のコンテンツや、音楽にちなんだアイテムを見つける宝探しゲームができます。
オリジナルの音楽を作って遊びたいユーザー向けには、Spotifyの子会社「Soundtrap」の音楽生成技術を使った「バーチャル・ビートメーカー・ステーション」も用意されています。Robloxにワールドやアイテムを制作するクリエイターが多いことから親和性が高く、このような施策は広く受け入れられるでしょう。
また、「Spotify Island」内に音楽ジャンルやカルチャーを軸にしたバーチャル空間も増やしていく計画で、第一弾として、K-POPアーティストに特化したバーチャル空間「K-Park」を期間限定で公開しました。人気K-POPアーティストのサインが入ったデジタル・グッズの販売、交流イベントの開催、さらに、「ダルゴナコーヒー」「パッピンス(韓国風かき氷)」「プンオパン(韓国風たい焼き)」といった韓国スイーツを楽しめるK-POPカフェも登場し、音楽以外の韓国カルチャーも広く訴求したようです。
アイテムの購入などで得た収入はアーティストに直接還元される仕組みになっており、メタバース進出を狙いたいアーティストやレーベルにとっては新たなプロモーション手法になりえますね。
Roblox内での企業×企業コラボ:Forever21×バービー
日本でも若者を中心に人気のある米国発のファストファッション・ブランド、「フォーエバー21(Forever 21)」も、Roblox上に「Forever 21 Shop City」というワールドをオープンしています。
自らがショップのオーナーとなり、自分好みの什器や家具、装飾や音楽などを購入してショップを構築し、自分だけの店舗を経営するというシミュレーションゲームで、実際にアイテムを売買することもできます。
2022年6月、この「Forever 21 Shop City」で、あの「バービー人形」とのコラボレーションが実現しました。 マテル社のお人形「バービー(Barbie)」のアパレル、アクセサリー、化粧品、バービー・ドリームハウスにインスパイアされたフォーエバー21のコラボ商品「限定版バービーサマー2022コレクション」が、オンラインと実店舗に加えてRobloxの「Forever 21 Shop City」でも販売されたのです。 それにより、買い物客は実生活でもメタバースでも、そのコレクションや世界観を体験できました。
日本企業:サンリオ
日本企業のRoblox公式ワールドはまだ少ないですが、ワールドワイドな人気を誇るハロー・キティを持つサンリオ社がいち早くRobloxに進出して、世界中のユーザーにその世界を提供しています。
Welcome to My Hello Kitty Cafe! 🎀 Join Hello Kitty and Friends in a supercute world full of fun and sweet surprises. Create, manage, and decorate your very own Hello Kitty Cafe while making new friends along the way. Available only on @Roblox. Learn more: https://t.co/cBZ0th3gKV pic.twitter.com/PZtI8BBKrL
— Sanrio (@sanrio) April 26, 2022
2022年4月に公開された「マイ・ハローキティ・カフェ」は、キティちゃんをはじめとするお馴染みのキャラクターたちと一緒にオリジナルのカフェを経営していくシュミレーションゲーム。 小さなキッチンカーから経営をスタートさせ、徐々に大きいお店に発展させていきます。
スタッフを雇い、メニューを充実させて、自分だけのサンリオカフェが作れます。 おしゃれなお店にしたり、新商品を入れたり、お客さんの満足度を高めて店を拡大することができます。
新キャラクターやアイテムも更新されており、2022年10月現在で153万ユーザーが訪問し、46万いいね!を獲得しています。
まとめ
Z世代・アルファ世代の心をつかみ、世界的な企業がマーケティングやブランディングに活用しだした「Roblox(ロブロックス)」。
今後の動きとして、Roblox内での取引がより活発になるだけでなく、Roblox内で構築したエンゲージメントが実世界での購買行動へ発展することも大いに予想されます。
2022年12月にはRoblox Chinaのプレジデントであるアリ・ステイマン氏(Ari Staiman)がRoblox Japanの統括責任者に任命され、日本における事業活動の拡大を発表するなど、いよいよ本格的な日本展開がスタートするRoblox。
ブレイク前夜のRobloxを、デジタルマーケティング施策のひとつとして、検討してみてはいかがでしょうか?
まずは一度プレイヤーとしてRobloxを体験してみましょう。登録は無料、PCでもスマホでも始められます。安全な始めかたについてはこちらの記事を参考にしてみてくださいね!
当記事を発信しているnewtrace(株)では、高いCG制作技術や空間演出力、バーチャル展示会制作経験に基いて、企業や団体に対してRobloxでのメタバース進出やマーケティング、ブランディングの支援を行っています。
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