企業がデジタルマーケティング手段に「Roblox」(ロブロックス)を選ぶ理由
2022.11.07
ユーザーが創作可能なゲームプラットフォーム「UGGP」(User Generated Game Platform)の中でも世界的に急成長中の「Roblox」(ロブロックス)。
高い創作性があるという点に加えて、専用通貨を用いた経済活動が非常に盛んなことや、ユーザーが思い思いに過ごしたり、ユーザー同士で会話しながら遊んだりできる「メタバース」の面を持ち合わせているのが特徴です。 ここ数年では、「Gucci」「nike」「FIFA」「ウォルマート」など欧米を中心に大企業や著名ブランドがどんどん進出し、その世界観をユーザーに伝え、ユーザーとコミュニケーションをとりながら、オンライン上におけるブランディングやデジタルマーケティングに成功しています。
なぜ、彼らは「Roblox」でブランド展開を始めたのでしょうか? 本記事では、企業がRobloxを選ぶ理由を紐解いていきます。
▼目次
1.ロブロックス(Roblox)とは?
2.企業がコラボする理由
①若年層・青年層のエンゲージメントが高い!ブランディング・ファンマーケティングに有効
②Robloxでの収益化が可能
③コンテンツを「口コミ」のように広められる
④ユーザーの行動分析ができ、市場分析にも活用可能
⑤「ゲーム内広告」の開始により、集客拡大や広告収入も可能に
⑥安全面への配慮
3.まとめ
ロブロックス(Roblox)とは?
無料で遊べる!世界中の若者に大人気のゲーミングプラットフォーム
『Roblox(ロブロックス)』は、世界で2億人以上が登録し、欧米やアジアの10代~20代や子供を中心に爆発的にユーザーを増やしているゲーミングプラットフォームです。2022年6月のRoblox社発表によると、登録ゲーム数は3200万種を超え、1日あたりのプレイ人数は5220万人という驚くべき数字。ゲームの中で遊ぶための世界、アバター、キャラクター、アイテム、服装など基本的にすべてをユーザー自身がデザインして全世界に公開でき、それをほかのユーザーも遊ぶことができるのが特徴です。
また、SNSのようにユーザー同士が友達になったり、チャットでコミュニケーションを楽むこともできます。 ゲームの難易度はそれほど高くないものが多く、ユーザーはミッションクリアよりもゲームを通した仲間とのコミュニケーションや、自身のアバターを着飾って自己表現を楽しむ傾向が多いのが普通のオンラインゲームと違う点。現実世界の友達に誘われてRobloxに登録し、集まる場所がこれまでの公園やカフェといった現実空間から仮想空間であるRobloxになった、というユーザーが多いのです。Robloxが「メタバース」と言われる所以でもあります。
そんなRobloxですが、なぜ多くの企業がコラボするのでしょうか。
企業がコラボする理由
若年層・青年層のエンゲージメントが高い!ブランディング・ファンマーケティングに有効
Robloxの利用者の1日の平均プレイ時間は2.8時間で、同じようにティーンに人気のSNSアプリ、スナップチャットの滞在時間(90分)の3倍以上だそうです。これはRoblox社が「より多くの人にコンテンツを購入してプレイしてもらうこと」よりも、「より長時間プレイしてもらうこと」を重視してきたからで、そのかいがあって強いエンゲージメントを獲得しています。
また、Robloxはもともと子供が他の子供向けのゲームを開発するためのプラットフォームとして開発された経緯もあり、主な利用者層は小学生~青年層と若めです。Roblox社の発表によると、2019年頃までは全ユーザーの50パーセント以上を13~17歳までのユーザーがも占めていました。が、2021年の四半期以降は17~24歳の青年層のユーザーが急増しているそうです。 ユーザー年齢層が上がって来た理由としてはプレイヤーが年を重ねてもRobloxを辞めずに使い続けているところにあります。
『Roblox』をプレイして育った子供たちは、RobloxをSNSとして継続利用する傾向にあり、高校大学を卒業して社会人に出てからも、友人と集まり、自分自身を表現する場として使っているのです。
「滞在時間の長さ」と「利用年数の長さ」。以上のことから、Robloxでブランディング・ファンマーケティングを展開すれば、長期的な顧客育成が可能になるのです。
Robloxでの収益化が可能
Robloxの大きな特徴として、ゲーム内通貨の「RoBux」(ロバックス)を稼ぎ、現金(アメリカドル)に換金して収益化できるシステムがあります。 ゲーム開発者は、いくつかの条件をクリアすれば、ゲームの中に課金ポイントを組み込むまたはプログラムを販売することでRobuxを集め収益化することができます。
Robux(ロバックス)を稼ぐには、Roblox内で遊べるゲームやアクティビティを作るか、もしくはアバターやアバターの衣装、特殊能力などのアイテムを作って販売するという方法があります。 このシステムを活用して、ゲーム開発会社と組んでレーシングゲームをつくり、そこで使う車の販売も行ったり、ミニカーをゲーム内で販売した玩具メーカーがあります。またある高級ブランドは、公式デザイナーがRoblox専用の限定アイテムをデザインし、Roblox内で期間限定で販売し収益を上げています。
コンテンツを「口コミ」のように広められる
Robloxには、ユーザー同士がチャットで交流できる機能があります。また、友達をおすすめゲームに招待することもできます。
子供のころからインターネット上での交流に抵抗のない「デジタルネイティブ」と呼ばれる多くのRobloxユーザーは、現実の友達と一緒にRobloxに入ったりRoblox内で新たな友人を作ったりしてゲームやワールドを一緒に遊ぶことに慣れています。 個別で遊ぶだけではなく、ワールドやゲームを一緒に楽しむ文化がユーザー内で確立されているということは、企業がRoblox上で伝えたいメッセージや商品情報に共感してくれたユーザーが、自分のフレンドにおすすめしてくれたり一緒に盛り上げたりしてくれる可能性が期待できるのです。
ユーザーの行動分析ができ、市場分析にも活用可能
オンラインマーケティングにおいてユーザーの行動データ入手と分析は欠かせない要素ですが、Robloxにも分析機能が備わっています。ユーザーの行動を追いながらコンテンツの調整をしていくことで、コンテンツの質を高め、ユーザー数の増加とエンゲージメントに繋げることが出来ます。
<主な統計内容>
・エンゲージメント
ユーザーがどのくらいあなたのコンテンツに時間を使っているかがわかります。KPIはDAU(デイリーアクティブユーザー数)、初めて利用したユーザー数、セッション数、合計プレイ時間数など6項目から見ることが出来ます。
・維持率
最初の訪問後に再びあなたのコンテンツに戻ってくるユーザーの数を測定したものです。24時間以内、デイリー、1週間、1ヶ月など7種類のKPIが用意されており、継続してリピートし続けるコンテンツ力の推移を細かく見ることが出来ます。
・収益化
あなたのコンテンツがユーザーからお金を稼ぐ能力を可視化しています。1日の収益やソースごとの収益源、コンバージョン率など、収益化戦略を調整するための数値が集計されます。 指標はグラフ化され、24時間ごとに更新されます。 「KPI ブレークダウン」機能を使えば、各項目に対する①年齢層別②アクセスプラットフォーム別③OS別④国別⑥言語別のユーザー分析もできます。
これらの機能を活用すれば、例えばあなたの運営するRobloxワールドが狙ったターゲット層にリーチしているのかがわかったり、逆に思わぬ層からの支持の発見に繋がります。
またRoblox内に配置・販売した商品ごとのユーザーからの人気・関心度を測ったり、ABテストを実施するなど、Robloxを通じて様々な市場リサーチが可能です。
「ゲーム内広告」の開始により、集客拡大や広告収入も可能に
Roblox社は2022年9月9日に開催された「Roblox開発者会議」(RDC)の中で、「ゲーム内広告」を導入することを発表しています。
動画は、現在ゲーム内広告サービスにテスト参加している米国のスポーツアパレル「VANS」の例です。 Robloxのユーザー(アバター)が白い扉のようなもの向かって進んでいると、「sponsored」という文字とVansの動画広告が流れる看板が。そこに飛び込むと、ユーザーはVANSがRoblox内につくったゲーム(ワールド)にワープします。 つまり、このケースでは没入型広告のリンク先がVANSのゲームになっているのです。
企業等はこのような流れでユーザーを他のワールド(ゲーム)から自分達のワールドに誘導することができるようになるわけです。(尚、ユーザーは元のワールドに簡単に戻ることができます)
同時にゲーム開発者にとっては現在の主な収益手段である「アバターやゲームプログラムなどユーザー生成コンテンツ(UGC)の販売」だけでなく、ゲーム内に表示する「没入型広告」(Immersive Ads:Robloxのゲーム内に掲載される3D広告)を導入することによるマネタイズも可能になります。
安全面への配慮
ユーザーの多くが未成年ということで、気になるのが安全面です。 Robloxでは、報告システムの完備、不適切なコスチュームの検出、チャットやゲームコンテンツのフィルタリング機能などを備え、トラブルを未然に防ぐ対策をとっています。 また、ユーザー側もプライバシー設定や保護者による行動履歴の確認機能、ブロック機能、決済機能の使用可否などを設定することが可能です。
これらの機能は適宜アップデートされており、課金まわりやコミュニケーション上のトラブルが最小限に抑えられるような企業努力がなされています。
まとめ
企業がRobloxを選ぶ理由をご紹介しました。 様々なSNSやメタバースが日本へ上陸していますが、中でもRobloxはZ世代・アルファ世代との強力なエンゲージメントを望む企業に有効な手段であることがわかります。
日本での導入企業がまだ少ないRoblox。新たなデジタルマーケティング施策のひとつとして、検討してみてはいかがでしょうか?
Robloxの企業活用事例を詳しく知りたい方はこちらでジャンルごとにご紹介しています。
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