建築業界でメタバースが注目されている理由とは?課題や活用事例を紹介
2024.07.09
「建築家がメタバースは活用する理由とは?」「ゼネコンや土木業にもメタバースは使える?」と疑問を持っている人がいるかもしれません。
メタバースとは、仮想空間を用いたサービスの総称です。近年はゲームやスポーツ、教育、小売など、さまざまな分野でメタバースが活用されています。
そこで今回の記事では、メタバースの基礎知識やメタバースが建築業界で注目を集めている理由、活用事例について解説します。
建築業界でメタバースの活用を検討している人は、本記事を参考にしてください。
メタバースとは
メタバースとは、一言で説明すると「仮想空間を用いたサービスの総称」です。
2021年にFacebook(フェイスブック)社が「Meta(メタ)」に社名を変更したことを受けて、メタバースはさまざまな業界で注目されるようになりました。
メタバースは、インターネット上の仮想空間なので、ユーザー同士がコミュニケーションを取ったり、商品・サービスを購入したりできます。
メタバースの基本的な知識については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:メタバースの意味とは?仮想空間でできること、メリット、活用事例、始め方を紹介
メタバースにおける建築分野
メタバースは、建築分野でも活用され始めていることを知っていますか?
具体的に説明すると、メタバースは「仮想の建築物をつくる」という目的で活用されることが多いです。
例えば、現実世界で建設予定のある建築物をメタバース上で設計し、あらゆる検証を行うといった方法で活用されることがあります。
反対に、現実世界では建設不可能な「アンビルト建築」を設計するなど、クリエイティブな場所として利用されることもあります。
土木とメタバースの関係
土木は道路や橋、トンネルなどを対象にした業種です。土木業界においても、メタバースを活用しようとする動きが見られています。
例えば、インフラ整備が完了した後を想定したバーチャル空間を作ることで、近隣住民はインフラ整備後の様子をイメージしやすくなります。
このようにメタバースは住民の合意形成で役立つため、土木業界と相性抜群と言われることがあります。
ゼネコンとメタバースの関係
建築業者が家やマンションなどの建築物を建設するのに対して、ゼネコン(ゼネラルコントラクター)は、道路や橋、ダムを含む、広範囲の構造物を対象にした業者です。
大手ゼネコン会社が、施工中の建物検査を実施するためにメタバースを活用する方針を示し、話題を呼びました。
具体的には、現地を3Dスキャンして取得したデータと設計時のBIMデータを組み合わせることで、施工中の建物を確認できるといった内容です。
このように、メタバースは建築業界や土木業界などで活用されています。
建築業界でメタバースが注目されている理由
それでは、どうして建築業界でメタバースが注目されているのでしょうか?以下でその理由を紹介します。
完成イメージを想像しやすくなる
建築業界でメタバースが活用されている理由として、建築物の完成イメージを想像しやすくなることが考えられるでしょう。
従来の2Dの図面と比較すると、メタバースでは3Dで建築物を再現できます。そのため、実物に近いイメージを持ちやすくなるのです。
実際にメタバースをバーチャルショールームとして活用する企業も増えています。
以下のページでは、バーチャルショールームの活用事例を紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
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シュミレーションのコストを削減できる
シュミレーションのコストを削減できる点も、メタバースが注目されている理由の一つです。
通常、建築物のシュミレーションを行う際は、縮小版の模型(もしくは実寸大の模型)を制作します。しかし、何度も模型を組み替えると、その分コストが発生します。
さらに、シュミレーション時に使用する資材により、環境への負荷もかかってしまいます。
そこでメタバースを活用すれば、コストを気にせずに何度でもシュミレーションすることが可能です。
訴求力が向上する
メタバースが注目されている背景には、訴求力が向上するということが考えられるでしょう。
従来は、2Dの設計図を用いてお客様に説明するのが主流でした。一方、メタバースでは3Dで建築物を再現できるため、完成イメージがよりクリアになります。
そのため、建築を考えているお客様にアピールしやすいのです。お客様も建築物に対して納得した上で購入できるため、両者にとってメリットが大きいと言えます。
共同作業者に情報を共有しやすい
メタバースが建築業界で活用されている理由として、共同作業者に情報を共有しやすいことが挙げられるでしょう。
図面や文字で情報を共有するよりも、実際のイメージを共有した方が多くの情報を共有できます。図面や文字では伝えきれない部分もカバーできます。
共同作業者間の情報共有の効率化を目指したい人は、メタバースの導入を検討してみてください。
建築業界におけるメタバースの活用事例
実際にどのような方法でメタバースが活用されているのでしょうか?ここでは、活用事例を紹介します。
東急建設
東急建設は、東急グループの総合建設会社(準大手ゼネコン)です。
東急建設は就職活動を行う学生に向けて、建設業の魅力を伝える目的で、メタバース上で建設現場を見学できるツールを開発しました。コロナ禍で現場を直接見学できる機会が減少したことがきっかけで、企画がスタートしたそうです。
同ツールは、「VR建設現場」と「VR事務所」で構成されており、パソコンやスマートフォンから見学できます。
鹿島建設
鹿島建設は、東京都に本社を構える大手総合建設会社(スーパーゼネコン)です。同社はThe GEAR(シンガポール)を舞台としたメタバース空間を制作しました。
The GEARとは、鹿島のアジア本社、R&Dセンター、オープンイノベーションハブの機能をあわせ持つオフィスです。
副社長のスピーチをメタバース内で再生したり、新しい価値を生み出すために担当者がメタバース内で会議をしたり、さまざまな方法で活用されています。
ラストマイルワークス
ラストマイルワークスは、不動産業界を中心にCGやXR技術を展開する企業です。
同社はメタバース制作代行サービスを展開しており、ビジネスシーンにおけるメタバースの活用を促進することを目的としています。
ラストマイルワークスは、大心建設(長野県の建設会社)のリフォーム空間をVRで体験できるオリジナルアプリケーションを開発しました。
どういったイメージのアプリケーションか、動画も紹介されているのでチェックしてみてください。
奥村組
奥村組は、大阪府と東京都に本社を構える総合建設会社(ゼネコン)です。
同社は株式会社Synamon(シナモン)と共同で、奥村組技術研究所内施設のメタバース化を実現しました。研究所では免震技術開発やICT、ロボットなど、さまざまな開発が行われています。
モックアップ作成のコストを削減するだけでなく、設計・施工工数の削減を目指すためにメタバースが導入されました。
大林組
大林組は、東京都に本社を構える総合建設会社(ゼネコン)です。大林組は「大林組林友会教育訓練校」に「O-DXルーム」を新設しました。
「O-DXルーム」では、建設技能者のスキルアップやコミュニケーション向上を目的とした、トレーニングコンテンツにアクセスできます。
具体的に説明すると、メタバース上で共同作業ができたり、すべての行動をデータ化して行動履歴を再現したりすることが可能です。
こういったトレーニングコンテンツを取り入れることで、遠隔地でも教育を実現できるようになると言います。
まとめ
今回の記事では、メタバースの基本的な知識の確認から、建築業界でメタバースが注目されている理由と活用事例までを解説しました。
ゲームや医療、買い物など、さまざまな分野で注目されているメタバースですが、建築業界においても例外ではありません。建築物をよりリアルに近い形でシュミレーションしたり、共同作業者に情報を共有したりする際にメタバースは活用されています。
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