VRが普及しない理由は?普及するための課題と将来の展望を解説
2025.09.16

VR(バーチャルリアリティ)は、ゲーム業界を中心に活用されていましたが、技術の発展とともに現在は医療、教育、観光業界などでも活用されています。
VRは幅広い業界で活用され始めていますが、実はあまり普及していません。技術が発展しているにもかかわらず、VRが普及していない理由には、何があるのでしょうか。VRが普及しない理由、普及していくための課題、VRの今後の展望について解説します。VRが普及しない理由とは

VRの普及が進まない理由には、以下の5つの理由が考えられます。
技術的な問題
VRを楽しむには、VRヘッドセット、パソコン、コントローラーなど、複数の機器をそろえる必要があります。
必要最低限の機器を用意すればVRを楽しめますが、機器の性能によっては十分な没入感を得られず、VRの魅力を引き出せない場合があります。また、機器の問題以外にVRのコンテンツの中には完成度が低いものも一部、存在します。このような技術的な問題がVRが普及しない理由の1つと考えられます。導入費用が高額になりやすい
VRを楽しむには複数の機器が必要になるため、初期投資の費用が高額になりがちです。
機器の価格は性能次第ですが、高性能なVRヘッドセットは5〜10万円ほどかかります。このほかにパソコンやコントローラーなどもそろえると、さらに費用がかかります。VRが登場した頃と比較して機器の価格は値下がりしましたが、それでも複数の機器を購入する必要があるため、導入費用が高額になりやすいのが普及を妨げている理由と言えるでしょう。コンテンツやサービスが不十分
VRの普及が進まない理由の1つにコンテンツやサービスが不十分なのも挙げられます。
VR機器は以前よりは値下がりしたとはいえ高額です。高い費用を払っても、プレーしてみたいと思えるようなキラーコンテンツや試してみたいサービスがなければ、VR機器を買ってみようという気持ちは起きません。人によって魅力的に感じるコンテンツやサービスはあるかもしれませんが、ライトユーザーが試してみたいと思えるようなコンテンツやサービスが登場するかどうかがVRの普及につながるカギとなるかもしれません。健康面の不安がある
VRを長時間使用していると、船酔いのようなVR酔い・ゲーム酔いなどの症状が起きる可能性があります。
個人差があるので必ず起きるわけではありませんが、このような症状が起きやすい人からすると、VRを積極的に使用するメリットを感じないでしょう。VRの使用が健康に与える影響に関するデータが少ないため、安全基準がないことを不安に感じる人もいます。VR利用者のデータを基にした安全対策も、VRの普及促進につながる重要なポイントとなるでしょう。使用できる場所が制約される・長時間の利用に向かない
VRはヘッドセットなど複数の機器を使用するため、電源がある屋内での使用が前提です。
また、ユーザーの動きに合わせてヘッドセットのディスプレイに表示される映像も動くため、ある程度広い場所であることが必要です。また、ヘッドセットの重さは500gほどです。使用開始直後は問題ありませんが、長時間使用すると首や頭に負担がかかります。このような屋内スペースの確保と体への負担も、VRの普及を阻む要因と言えるでしょう。日本のVRの普及率

2021年の調査では、VRの認知度は約90%と高かったものの、利用率は5%程度にとどまっていました。
しかし、認知度の高さから少しずつ利用率は増えているようで、2023年の国内AR/VRヘッドセットの出荷台数は前年度を上回り、前年比67.4%増と高い伸びを記録しています。これはSONYのPSVR2の影響が大きいとされ、普及率は今後、上昇していくと予想されます。メタバースの普及率は?
VRと同様にメタバースの認知度も上昇しています。
2023年の調査でメタバースの認知度は約83%、利用率は5.5%ほどで、前年の2022年の利用率は人口の約5.1%、600万人程度と予想されていました。総務省の調査によると、国内のメタバース市場規模は年々上昇すると予想されており、2023年の市場規模見込みは2,851億円、以降毎年市場は拡大し、2027年には2兆57億円と4年間で7倍以上に拡大すると見込まれています。メタバースの普及はVRの普及にも好影響を与えるため、どちらも着実にユーザーが増加していくと予想されます。VRが普及していくための課題

VRが普及するためには、以下の3つの課題を解決する必要があります。
VR機器とUXの向上
VR機器の性能は向上し続けていますが、長時間使用しても負担にならないよう、軽量化とUX(ユーザー体験)の向上が求められます。
VRヘッドセットが重く、肌に密着することに違和感を覚えると、本物と見間違うようなグラフィックでも没入感が浅くなります。たとえば、VRヘッドセットがメガネのような形状と重量であれば、気軽に使用できます。操作においても、説明書を読まなくても直感的に操作できるようになれば没入感が高まり、UXの向上が期待できます。VR機器の低価格化
VRの普及を阻む壁がVR機器の「価格」です。
VRが登場して間もない頃と比べると、価格は低下していますが、それでも、数万から十数万円の初期投資が必要です。VRを楽しむために必要な機器の総額が数万円程度に収まれば、ライトユーザーでも手を出しやすくなり、普及が加速度的に進む可能性があります。高性能を維持しながら、低価格化を実現できるかがVRを普及させるポイントとなるでしょう。人気コンテンツの登場
「広範な層に好まれるコンテンツ」が生まれるかもVRの普及を促進させるポイントです。
VRはゲームで活用されることが多く、人気のコンテンツもありますが、ゲームに興味がない層にとって、VRは利用する理由がありません。現在は医療や教育など、ゲーム以外にもVRが活用されているため、幅広い層が利用したいと思えるコンテンツを生み出せるかがVRの普及につながります。VRの今後の展望

VRの今後の展望について解説します。
5GがVRの普及を加速させる
VRの課題の1つに「遅延」があります。
映像、音声、操作にわずかでも遅れが発生すると、VR酔いを引き起こしたり、没入感が損なわれます。しかし、5Gには「超低遅延」という特徴があり、通信の遅れを抑制できます。これにより、VRコンテンツをリアルタイムでストリーミングしたり、離れた場所にいるユーザー間とのスムーズな交流が実現します。5Gによって通信環境が整備されることで、VRの体験の質が向上し、市場の活性化につながると期待されています。没入感の進化
VRの魅力は、まるでコンテンツの世界に入り込んだかのような没入感です。
現在は映像と音声が中心ですが、今後は「触覚」や「嗅覚」など、五感を刺激する技術の発展も期待されています。これらの感覚をVR上で再現できるようになるには、まだ時間がかかるかもしれませんが、実現すれば現実と仮想の境界がさらに曖昧になり、体験の質が大きく変わるでしょう。こうした技術が実装されれば、VRは日常生活により深く浸透していくと考えられます。MRとの統合と発展
VRがさらに発展・普及していくために注目されるのがMR(複合現実)との統合です。
MRは現実の空間にデジタル技術を重ねる技術であり、VRとMRが融合することで、これまでにない新たな体験が実現します。たとえば、自宅でVR上で行われる会議に参加し、MR技術を活用して資料を目の前に3Dモデルで表示させる、といった使い方が実現するかもしれません。もちろん、ビジネス以外にも活用できるため、VRとMRの統合と発展はさまざまなシーンで役立つでしょう。AIとの融合でインタラクティブな体験を実現する
進化が著しいAIとの融合で、これまでにないインタラクティブな体験が実現する可能性があります。
アバターの挙動などの制御をAIがリアルタイムで行うことで、自然な動作や他のユーザーとのコミュニケーションが円滑になり、NPCとの会話や行動にも違和感がなくなるなど、これまで以上に没入感が高まるでしょう。これらの研究・開発はすでに始まっており、早期に実現するかもしれません。VR技術が幅広い業界で活用できる
VR技術は、これまでゲームを中心に活用されていましたが、現在では、さまざまな業界で導入が進んでいます。
医療では外科手術のシミュレーションやリハビリ、教育では遠隔授業、建設では3Dモデルを活用した設計、工事のシミュレーションなどが挙げられ、このほかにも多くの業界で活用され始めています。VR技術がさらに発展していけば、リスク回避、コスト削減、生産性向上など、業務の効率化への貢献が期待されています。まとめ

VRの普及にはいくつかの課題がありますが、市場は拡大しており、教育・医療・建設など多くの業界で活用が広がっています。
VRの普及が進めば、これまで以上に仕事や生活に良い影響を与えるでしょう。newtraceは、広告やプロモーションCG制作で実績豊富な企業であり、VRやメタバースの制作にも対応しています。VR技術を活用したコンテンツ制作、社内業務の効率化など、ご検討されているなら、newtraceにご相談ください。