WebGLとは?できることと将来性、活用事例について解説
2025.08.20

WebGLとは、3DグラフィックスをWebサイト上で表示する技術です。
ブラウザを問わずに利用できるため、その利便性の高さから、幅広い分野で活用されています。没入感のあるリッチデザインを実装し、ユーザーを惹きつける魅力的なWebサイトを実現します。
では、そのほかにどのようなことができるのでしょうか。この記事では、WebGLで何ができるのか、主要なライブラリ、活用事例について解説します。WebGLを自社のWebサイトに活用したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。WebGLとは

WebGLは「Web Graphics Library」の略称です。
Webサイト上のJavaScriptなどのスクリプトから、コンピューターのGPUやCPU内蔵グラフィックス機能に直接アクセスして、3Dグラフィックスを高速で処理する技術です。この技術は低レベルのAPIであるため、3Dグラフィックスやアニメーション効果の細かな制御が可能です。
デスクトップパソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットなど幅広いデバイスやブラウザでも3D表示が可能です。WebGLは、ゲームやインタラクティブな3Dコンテンツの開発に非常に有効な技術ですが、高度なプログラミングの知識が必要です。
WebGLの対応ブラウザ
WebGLの対応ブラウザはChrome、Edge、Safari、Firefoxなどのブラウザに対応しています。ただし、いずれのブラウザも最新バージョンであることが必須条件です。
使用しているブラウザがWebGLに対応しているかの確認は、WebGLテストツールが一部のサイトで提供されているため、こちらで確認しましょう。
また、Windows、macOS、Linux、Android、iOSなど、これらのプラットフォームにも対応しています。
WebGLはスマホでも利用可能
前述したようにWebGLはスマートフォンでも利用できます。Webブラウザで動作するため、デバイスごとにソフトウェアなどを追加する必要がないためです。
そのため、さまざまなプラットフォームごとの環境に左右されず、一貫した体験の提供が可能です。
WebGLでできること

WebGLで、どのようなことができるかについて解説します。
Webサイト上にゲームコンテンツを提供できる
WebGLの活用で、Webサイト上にゲームコンテンツを提供できます。Unityなどのツールで作成したゲームをWebGL形式で書き出すことで、ブラウザ上でゲームを操作できます。
Webサイト上にゲームコンテンツを配置すれば、ユーザーの滞在時間を延ばせるほか、話題性が高まることで集客も期待でき、自社サイトのコンテンツをさらに充実させることが可能です。
こうしたコンテンツの充実により、魅力あるサイトとしての評価が向上するというメリットもあります。
商品を3Dで表示できる
WebGLは、商品などをリアルな3Dグラフィックスで表示できます。3DグラフィックスはWebGLの得意分野であり、リアルな表現によってユーザーに商品の魅力を伝え、購買意欲を高めることができます。
ユーザーの視点から見ても、リアルな3Dグラフィックスで再現された商品の質感などを、購入前に確認できるため、購入後のミスマッチを減らせるというメリットがあります。
データが可視化できる
WebGLの活用で、テキストや静止画像では伝わりにくい情報を、3Dのグラフや時間の経過に伴う変化を取り入れた形で可視化できます。
たとえば、「気温の変化を時間軸で動かす3Dグラフ」や「台風の進路と風の強さを視覚化したシミュレーション」などは、静止画像やテキストだけでは伝えにくいため、WebGLの特性を活かして、視覚的に分かりやすく表現できます。リッチデザインを実装できる
リッチデザインとは、視覚的に豊かでユーザーの操作や反応に応じて変化するアニメーションなど、インタラクティブな要素を取り入れたデジタルデザインのことを指し、ユーザーの関心を引きつけやすいという特徴があります。
一般的なWebサイトでは、ユーザーに一方的に情報を提供するだけの受動的な体験しか提供できませんでしたが、WebGLを活用することで、双方向的な体験の提供が可能です。
そのため、リッチデザインを実装することで、ブランドイメージや訴求力の向上が期待できます。
WebGLのライブラリ

WebGLを簡単に利用しやすくするツールやフレームワークをライブラリと言います。
WebGLの主なライブラリを紹介します。BabylonJS
Microsoftが提供するJavaScript向けのWebGLライブラリであるBabylon.jsは、豊富な機能と高いパフォーマンスが魅力。です。
VRやARなどの3Dゲームの開発には、高度なレンダリング機能が必要です。Babylon.jsはそれを備えていることから、最適なライブラリと言えます。多機能かつ高性能でありながら直感的な操作が可能なため、経験が浅い開発者にも扱いやすいライブラリです。
PixiJS
PixiJSは2Dグラフィックスに特化したJavaScriptライブラリで、高性能な表現が可能です。
3Dグラフィックスには弱いものの、Web上で動作するゲームやインタラクティブなアプリ、複雑な映像表現に強みがあります。WebGLをレンダリングエンジンとして活用していますが、WebGLが使えない環境ではHTML5のCanvasに自動で切り替わる機能が搭載されています。Three.js
WebGLで3Dグラフィックスを表現するにはJavaScriptをはじめ、さまざまな知識が求められますが、Three.jsはJavaScriptの基礎知識があれば、比較的簡単に3Dグラフィックスを作成できる商標利用可能なライブラリです。
JavaScriptは多くの開発者にとって基礎となるプログラミング言語なので、Three.jsは扱いやすいライブラリと言えるでしょう。
オブジェクト作成やカメラ設定、光源の配置など機能が豊富で、ゲームやVRのほか、幅広い分野で活用できる使い勝手の良いライブラリです。Vanta.js
Vanta.jsはThree.jsを利用し、簡単に3Dアニメーションを実装できるライブラリです。
Vanta.jsは軽量で、Webサイトの読み込み速度に影響を与えにくい特徴があります。また、インタラクティブなエフェクトも数行のコードで簡単に追加できます。プリセットには豊富なエフェクトが用意されており、カスタマイズも可能です。デザインにこだわりたい場合、Vanta.jsの多彩なプリセットは高品質なWebサイト構築に役立ちます。WebGLの将来性

WebGLは、今後もWeb上での3Dグラフィックスを支える重要な技術として期待されていますが、すでに後継技術となるWebGPUの開発が進んでおり、さらに高度なグラフィックス処理と演算が可能になると見込まれています。
また、AIやリアルタイムレンダリングなどの先端技術との統合も進んでいることから、WebGLの活用の場はさらに拡大していき、Web上での3Dグラフィックスの表現力も進化を遂げていくと考えられます。
今後の課題
WebGLは、十分な将来性がある技術ですが課題も残されています。
WebGLは、ほとんどのブラウザに対応していますが、ブラウザごとの互換性や動作環境の違い、特に新機能の対応状況に差があるため、安定した表示を実現するための調整が必要です。また、GPUを直接操作するため、セキュリティ面でのリスク管理も不可欠です。
このほかに3Dグラフィックスやインタラクティブな要素を実装するには、専門的な知識とスキルが求められるため、開発の難易度が高くなります。これらの課題が解決できるかが、今後の発展の鍵となるでしょう。
WebGLの活用事例

WebGLの活用事例を3つ紹介します。
アサヒビール
大手飲料メーカーのアサヒビールには「アサヒパーク」というサイトがあります。
このサイトではWebGLを活用して、ブラウザ上でスロットや簡単なゲームを楽しめるコンテンツを提供しています。アプリのインストールは不要ですが、プレイにはログインが必要なため、リストマーケティングの一環と考えられます。
さらに、ゲームで貯まったポイントを使い、キャンペーンに応募できる仕組みがあり、顧客の購買意欲を促進する取り組みとなっています。参考:アサヒビール
Hi-net
防災科学技術研究所によって、全国に整備されている地震観測網「Hi-net」でも、観測されたマグニチュード1.5以上の地震データをリアルタイムで可視化するためにWebGLを活用しています。
マグニチュード1.5以上の地震の震源分布をWebブラウザ上で3次元的に表現することで、直感的に理解しやすくなっています。
どの地域で地震活動が活発か一目で分かるため、防災意識の向上が期待できます。まくらのキタムラ
まくらのキタムラの公式サイトでは、ユーザーのマウス操作に合わせて、ズームイン・ズームアウトする演出、目覚めから外出までの動作をコマ送りで表現した3Dアニメーションを実装しています。
これらの演出や描写で、製品の快適さや使い心地を視覚的に伝えるインタラクティブなリッチデザインとして商品を効果的に訴求するのとともに、まくらのキタムラのブランドの理念をユーザーに印象付けることにも成功しています。
参考:まくらのキタムラ
まとめ

WebGLは高度な3Dグラフィックスを表現できるため、表現力豊かなWebサイトを構築できますWebGLを活用したWebサイトは、ブランドイメージとユーザーの購買意欲向上が期待できます。
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