メタバースとブロックチェーンの関係性とは?各特徴と活用例を解説
2024.11.06
近年、メタバースはゲームの分野だけでなく、ビジネスの分野でも活用され始めています。
しかし、ビジネスの分野でメタバース活用の幅を広げていくには、ブロックチェーンと呼ばれる技術も欠かせません。
メタバースの活用に、なぜブロックチェーンが必要とされるのでしょうか?
ブロックチェーンとは、具体的にどのような技術なのでしょうか?
この記事ではメタバースとブロックチェーン、それぞれの意味、両者の関係性、活用事例について解説します。
メタバースとは
メタバースとは、インターネット上に構築した仮想空間のことです。
メタバースの言葉の由来は、ギリシャ語で超越を意味する「メタ」と、英語で宇宙、万物などを意味する「ユニバース」を組み合わせた造語で、1990年代に出版されたSF小説で使用された言葉です。
メタバースでは、「アバター」と呼ばれるユーザーの分身を使って行動します。
アバターを通じて、他のユーザーと会話などのコミュニケーションを取ることができ、メタバース内にあるゲームなどを一緒に楽しむことも可能です。
インターネット上に構築されたメタバースは理論上、大きさなどの制限を受けずに3次元の空間を作ることが可能です。
現実とは異なる空間を作れるので、さまざまな用途に使用できるのもメタバースの魅力です。
メタバースとVRの違い
メタバースと混同されることが多いのがVRです。
VR(Virtual Reality)は、日本語で「仮想現実」と訳されるため混同されがちですが、VRは専用ゴーグルやその他のデバイスを使用して、実際にメタバース空間にいるような没入感を高めるための「道具・手段」です。
メタバースは「仮想空間」、VRはメタバースの世界への没入感を高める「道具・手段」です。
このように両者はそれぞれ目的が異なり、使用されている技術も異なります。
ブロックチェーンとは
ブロックチェーンは、データを「ブロック」にまとめて「チェーン」のようにつなぎ、自律した複数のコンピュータで分散管理するための技術のことです。
ブロックでまとめられたデータは不変性と透明性が保たれるだけでなく、ハブとなるサーバーが存在しないため、システムダウンへの耐性が強いのも特徴です。
また、ブロックチェーンは暗号技術が使用されているため、データの改ざんは困難です。
その他の特徴として、複数のコンピュータで取引履歴などの記録をコピーして保存するため、一度記録したデータは削除されずに残り続けます。
ブロックチェーンとデータベースの違い
データベースは1台のコンピュータでデータを保存する方式と、ブロックチェーンのように複数のコンピュータでデータを保存する分散型がありますが、どちらの方式でも最終的に管理者の存在が必要となるため、仕組みとしては中央集権型です。
万一、1台でデータを保存しているコンピュータがシステムダウンすると、すべてのデータが失われる恐れがあります。
分散型のデータベースならデータが失われるリスクは軽減されますが、管理者が悪意を持ってデータを改ざん・削除することは不可能ではありません。
ブロックチェーンの場合、サービスの提供元でもデータの改ざん・削除は困難なため、安全性と透明性はブロックチェーンの方が高いと言えるでしょう。
メタバースとブロックチェーンの関係性
メタバースとブロックチェーンの関係性や、今後のインターネットに与える影響について解説します。
中央集権型から分散型へ移行していく
インターネットは今後、ブロックチェーン技術を活用したWeb3.0と呼ばれる次世代のインターネットに移行すると言われています。
従来のインターネットは、国や企業などが一元管理する中央集権型でしたが、ブロックチェーン技術を活用したWeb3.0では、国や企業などが管理せずに、それぞれのユーザーがデータを双方向で管理・利用して、直接相手と自由なやり取りができる分散型へと移行していくと言われています。
Web3.0への移行で、インターネット上に新たな文化圏・経済圏が構築される可能性があり、これまでになかったビジネスモデル、国境・民族・プラットフォームにとらわれない価値が創造されると言われています。
取引の安全性が高まる
Web3.0は、ブロックチェーンを活用した技術なので、データの改ざんが困難です。
そのため、Web3.0で構築されたインターネット上での取引は、いつ・どのような内容で行われたのか、取引に関するすべての情報が記録され、データの改ざんも難しいため、安全性の高い取引が可能です。
将来的には、高額な取引は現実世界で取引を行うよりも、インターネットを通じて行う方が安全性が高くなる可能性があります。
暗号資産と現実の通貨をリンクさせる
安全性の高さを利用して、暗号資産と現実の通貨をリンクさせることも可能となるでしょう。
暗号資産は所有者のIDとリンクできるので、日本円やアメリカドルなどの通貨とリンクさせて、現実世界で不動産や車などの購入が可能です。
また、暗号資産は発行量などの規制があるため、メタバース内ではインフレが起こらないメリットもあります。
NFT化でデジタル資産の価値が確保できる
NFTとは、非代替性トークンのことを指します。
NFT化とは、ブロックチェーン上でデジタルアイテムの所有権を証明することです。
メタバース上の土地やデジタルアートなどをNFT化することで、それらのデータの改ざん・複製が不可能になるため、価値が確保されて資産として扱えます。
NFT化で価値が確保されたデジタルアイテムは、運営者が異なる別のメタバースに移動しても保有できます。
また、資産として扱われるので取引を行い、暗号資産や現実の通貨を得ることも可能です。
メタバースでブロックチェーンを活用する時の課題と注意点
メタバースとブロックチェーンの活用は、ポジティブなことばかりではありません。
その課題と注意点について解説します。
セキュリティ対策
ブロックチェーンはデータの改ざんを困難にしますが、ブロックチェーン単独でセキュリティが保証される訳ではありません。
個人情報や資産に関する情報は、ユーザー自身が管理しなければいけません。
複雑なパスワードの設定、二段階認証、ユーザーからの評価が高いプラットフォームを利用するなどのセキュリティ対策を行いましょう。
規制の管理
メタバースとブロックチェーン技術は、さまざまな分野に活用されていますが、各国の法整備が追いついていないのが現状です。
法律が整備されていないと業界や関係団体の対応が統一されず、その分野のメタバースとブロックチェーンの活用に遅れが生じる可能性があります。
業界や関係団体は統一されたルールを作り、国に対して法整備を求めるなど、ユーザーが安心できる体制を作ることが求められます。
著作権などの保護
著作権や知的財産などの保護も課題の1つです。
ブロックチェーンは、これらの権利を誰が保有しているのか、権利が移譲された履歴などは管理できますが、権利侵害は防げません。
これらの権利が侵害されないよう、チェック体制を作ることも必要です。
技術面の課題克服
メタバースとブロックチェーンは異なる技術が使われているため、互換性がない場合があります。
メタバースとブロックチェーンが発展していくには両者の技術統合が必要です。
標準規格の策定、専門知識を持つ技術者を育成して技術的な課題を解決するための取り組みについても注力していく必要があります。
メタバースでのブロックチェーンの活用例
メタバースでのブロックチェーンの活用例を5つ紹介します。
Roblox
Robloxは、マーケティングや広告などを目的に世界的に有名な企業が進出しているメタバースプラットフォームです。
イベントゲームに参加して遊ぶ、ゲーム内の暗号資産を稼いで、アメリカドルに換金することも可能です。
月間のアクティブユーザー数が2億6,000万人を超えており、ビジネスチャンスの場としても活用できます。
詳細については、下記のリンクからご覧ください。
The Sandbox
The Sandboxは、「LAND」と呼ばれる土地を購入して、その土地で作品やゲームを制作して、収益が得られます。
アイテムをNFT化して取引する有名企業が「LAND」を購入してイベントを開催するなど、発想次第でさまざまな活動が可能です。
Decentraland
Decentralandは、イベントやミニゲームで遊んだり、これらの主催者となって独自の暗号資産を稼ぐこともできます。
アイテムやゲームが作れるツールが充実しているので、独自のコンテンツも作れます。
Decentraland内の土地の購入をして売買する・貸し出してレンタル料を稼ぐなど、自由度の高さも魅力です。
STEPN
STEPNは、ランニングなどの運動をして、暗号資産が稼げるゲームです。
プレーするにはNFTのスニーカーを購入する必要があり、スニーカーのランクと移動距離で暗号資産が稼げます。
スニーカーは、STEPNのアプリにセットしてランニングを行います。
Axie Infinity
Axie Infinityは、ペットを育成して戦わせるゲームです。
ユーザーはペットの育成・繁殖を繰り返し、戦わせてアイテムを収集します。
アイテムはNFT化して、マーケットで売買することで収益を得ることができます。
まとめ
メタバースとブロックチェーンについて解説しました。
両者の特徴を組み合わせることで、メタバースは安全性が高い空間として、新たな価値観・ビジネスモデルを生み出す場として活用の幅を広げていくことができます。
解決すべき課題もありますが、メタバースは多くの可能性を秘めた魅力ある世界に感じられたのではないでしょうか。
newtraceでは、メタバースプラットフォーム「Roblox」を始めとしたメタバースの企画・制作・運用の他にVR/AR企画・制作も行っております。
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